昨年末にスタートしたマンガ配信サービス「ステキコミック」。
「読者にとってもマンガ家にとっても、フェアで持続可能なサービス」をコンセプトに、スマホやPC・タブレット等で楽しめる新しいWEBコミックサイトとして注目を集めています。
オリジナル作品から人気の名作コミックまで、ラインナップも続々増加中。特にオリジナル作品には、小説投稿サイト「ステキブンゲイ」「ラノベストリート」との連動企画として生まれたフレッシュなコミカライズ作品も顔を揃えています。
そのステキブンゲイ主催の「第一回ステキブンゲイ マンガ原作大賞」で、募集期間中の閲覧数&訪問者数が最も多かった作品に与えられる「読者賞」を受賞した作品が、昨年12月のサービス開始と同時にコミカライズ連載がスタートしたみなはらつかささんの『神奈さんとアメリちゃん』(漫画/うめのはな)です。
読者の大きな支持を集めてコミカライズが実現した、猫耳少女として蘇った愛猫とその飼い主の優しい交流の物語について、原作のみなはらさんにお話を伺いました!
自分でも、ここまでの大長編になるとは思っていませんでした
――まず最初に、この『神奈さんとアメリちゃん』がどのような作品か、内容をお教えいただけますでしょうか。
テーマは育児です。優しい物語を志しました。私が、「こんな育児をされてみたかった」という夢を、詰め込みました。
――この作品が生まれたきっかけを教えていただけますでしょうか。
発作的に、「おねロリ書きたい!」と思い、構想を練っているうちに、猫耳幼女、ペットロスの救済、育児……という風に、要素が付け足されていきました。キャラは、その後です。
最初の起承転結にあったのは、松戸医師の診察(第5話でのエピソード)までで、あとはどんどん付け足していった形です。ラストは、アメリの誕生日で締めくくろうと、ざっくり決めた程度です。自分でも、ここまでの大長編になるとは思っていませんでした。
※おねロリ=お姉さんと少女の交流を描いたジャンル
――「亡くなってしまった愛猫が、少女の姿で還ってきた」という物語ですが、主役コンビの猫崎神奈&アメリのキャラクターはどのように生まれたのでしょうか。
この2人はもともと、(ステキブンゲイ、ラノストでは未発表ですが)「わたしといっしょにうたおうよ!」という中編百合作品に出した、主人公アメリと、その恋人カンナをリサイクルしたものです。
神奈を主人公にしたのは、アメリ視点だと、物語が書きにくかったからです。神奈は、「こんな人と一緒に暮らしたら、毎日がきっと楽しいだろうな」というキャラを心がけました。
アメリはわがまま成分を抑え気味に、愛らしい素直なキャラにしました。
虹の橋を渡ったペットが復活するというのは、ペットロスを長年引きずっている、私の夢をこめています。
アメリの太眉と3本アンテナは私では思いつかないアイデアでした
――この作品は「第一回ステキブンゲイ マンガ原作大賞」で読者賞を受賞し、コミカライズされたわけですが、改めて受賞時のお気持ちをお教えください。またコミック化に際しての要望や、逆に編集部側からの提案なども含め、コミカライズがスタートするまでの期待や不安なども合わせてお教えいただけますか。
これで駄目だったら、アマゾンで自己出版するしかないという心境だったので、まさに、救われた気持ちでした。
要望というより、脳内イメージを伝えるのが大変でした。このためだけに、ペンタブを買ったり、ゲームで猫崎家を再現したり……。
一世一代ぐらいの気持ちで臨みました。それゆえに、単行本売上への不安も大きいです。
――マンガご担当のうめのはな先生から、神奈やアメリのキャラクターデザインや、小説としてご自身が描いたシーンがマンガとなって届いたものをご覧になったときのお気持ちはいかがでしたか?
とても嬉しかったです。ただ神奈もアメリも、自分の中で固まっているイメージがあったので、ずいぶんリテイクをお願いしてしまいました。
アメリの太眉と3本アンテナは私では思いつかないアイデアだったので、これは面白いと、採用させていただきました。
――コミック版『神奈さんとアメリちゃん』は昨年末から配信がはじまりましたが、そのときのお気持ちや、周囲の方や読者の反響など、印象に残っているものがありましたらお教えください。
嬉しくて、友人知人親類に草の根活動で宣伝しました。
大変だったことは担当さんに、「アメリ撮影に没頭する神奈」(第3話でのエピソード)の大切さを納得していただくことでした。あそこまで圧縮して、やっとGoが出ました。別サイトですが、そこで原作愛読者の方に、「これが見たかった!」と言われたので、やはり入れてよかったです。
コミカライズは、上手く原作のエッセンスを抽出してくれています。原作小説ともども、よろしくお願いします!
――コミック版の中でお気に入りのシーンや注目してほしいシーンはどこですか。
やはり、1話ラストですね。日常ものでありながら、ホットスタートを描けた作品なので、完璧でした。
――原作者として、本作のおすすめポイントを教えてください。
読者に幸せな気持ちになってもらおうと、優しい人達が紡ぐ、優しい物語を描きました。
――連載では、アメリと同様に人間として蘇ったクロちゃんが登場し、コミック最新話ではそのほかの猫耳少女の存在も明かされていますが、これからの展開を読者にちょっとだけ教えたいただけますか?
この先では、新たな猫耳少女と、その保護者。そして、その友人たちが登場して、一気ににぎやかになります。ぜひぜひ、お楽しみに!
――最後に読者に向けて、『神奈さんとアメリちゃん』の作品、そして小説家・みなはらつかさとしてメッセージをいただけますか。
150作以上ある自作の中でも、やはり一番手応えを感じた作品です。
コミカライズは、上手く原作のエッセンスを抽出してくれています。原作小説ともども、よろしくお願いします!
『神奈さんとアメリちゃん』あらすじ
亡くなったはずの猫のアメリが帰ってきた!? どんな時も一緒だったアメリを、亡くしてしまった神奈。ずっと一緒にいたかったのに――。仕事も手につかない神奈の元へ現れたのは一人の小さな女の子。彼女は自分がアメリだという……しかも、その頭には猫の耳!? 2人の新たな生活が始まる!
著者プロフィール
みなはらつかさ
ステキブンゲイほかの小説投稿サイトで活動中。2022年に「第一回ステキブンゲイ マンガ原作大賞」で読者賞を受賞(受賞時タイトル「猫耳幼女育児日記」)。現在「ステキコミック」にて好評連載中。